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「あらあら……困りましたねぇ。とりあえず戻りましょう」
「あいあいさー」
骨の馬2頭の手綱を引いて、Uターンさせようとするが、なかなか言う事を聞かない。
「こっちこっちー」
ピンクとヒマラヤで一緒に引っ張っていると……
ちょっとした力が働いてしまったのか、1頭がバラバラになってしまった。すると驚いた馬が勝手に駆け出してしまうのだ。
「あぅー!!」
「と、止まってぇ!!」
止まっていた所が運悪く、崖に近いそこから駆け出せば、馬車は片輪が落ちてしまい……
そのまま重力に逆らえず、落下してしまう。かなりの高さから落ちてしまい、馬車がバラバラになるのは間違いないだろう。振り落とされた2体も同じように落ちていく。
「あいやぁ!!」
「たちけてぇ!!」
「きゃはは♪楽しいですわ♪」
落下してても楽しそうにしているお姫様。そのまま恐れずに、馬車は地面に衝突、バラバラになって、森にその轟音が鳴り響く。
魔族の凄い所はその生命力。
軽く30メートルはある高さから落ちたとしても……
お姫様は無傷だった。
残骸から出てきた彼女、重たいそれも簡単にはねのけて、すっかり汚れて出てきた。
「とんだトラブル……でも楽しかったですわ♪あれ……ピンク?ヒマラヤ?」
辺りを見ると、割れたドクロのお面が2つ。
「きゃー!ピンク!ヒマラヤ!」
流石に慌てた姫はそれに駆け寄り、集めた。
しかし、死ぬことはないようだ。そのお面から声が聞こえる。
「いたいよー」
「割れちゃったよー」
「まったくもう……貴方達は」
「ごめんなさぁい、しばらくねんねしますぅ」
「破片は全部回収してくだぁい」
そう言い残して、声が聞こえなくなってしまった。
しばらく活動停止をするだけで、また復活するのか、悲しんだりはしなかったが……
流石に1人になれば、不安な顔は拭えなかった。
「どうしましょう……」
そんなトラブルに見舞われて、破片を全部袋に詰めると座り込んで考えるお姫様。
これから先、どうしようかと悩む彼女。すると空腹でお腹が鳴った。
「きゅぅ……流石にお腹が空きましたわ」
魔界の入口からアドランド城は近く、食料等は持っていなかった姫は辺りを見渡す。
すると……ほのかに香る何かに気がつくと、四つん這いのまま、そこに向かっていった……
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