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静かな森に、轟音が響いて、僕はその音が気になってそちらに向かっていた。
薬草や食材を集めていた時に、いつもとは違う壊れる音。音の方角は崖になっている所。山道から馬車が落ちてしまったのだろうか?
なら人が怪我をしているはず。もしくは……
そう心配になって、駆け出していた。
草木をかきわけて向かっていく……
木々の間から残骸が見えてきた。
あの壊れ方は……もうだめかもしれない。
そう焦って飛び出すが、人が倒れてる様子はなかった。
「大丈夫ですか?!誰か……誰かいますか!!」
そう残骸の周辺を見ていた時だった。
その後ろに何か気配を感じて、覗いてみると……
そこには地面にペタンと座り込んで何かを食べている女の子がいた。美しい純銀のような髪に、真っ白の綺麗な肌。何よりも美しい横顔。
思わず見とれてしまった。
少し見ていると、彼女も気がついて、僕と目が合った。その可愛らしい顔を見て、ドキッとしたのは一瞬。
それよりも気になったのは……
たんぽぽを食べていた事だった。
花をつけたまま、茎からシャクシャク食べていた彼女。その食べ方は……ウサギと同じ。
目の前の不思議な存在に色々と混乱してしまう。
「……まぁ!」
「あっ……あの……」
「人間ですわぁぁぁあ!」
大きく笑った彼女はいきなり僕に飛びついてきて、押し倒してくると、顔を近づけてきた。
ひんやり冷たい手で頬を触ってきて、もの珍しそうに、何よりも嬉しそうに微笑んだ。
「はじめまして人間さん!私はアイニャレト・カストリーチェ・エルモンサ・アラヨットですわ!」
「えっ?アイニャ……なに?」
「アイニャレト・カストリーチェ・エルモンサ・アラヨットですわ!ふふ♪初めての人間さんにお会いできて嬉しいです♪」
あまりにも嬉しいのか、見知らぬ僕に甘えるように抱きついてくる彼女に胸が高鳴ってしまう。
頬を擦り寄せたり、僕の匂いを嗅いだり……
恥ずかしくてたまらず、思わず引き離してしまった。
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