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鼻唄を歌いながらたんぽぽを摘んで袋に入れるアイニャ。
そんな何処にでも咲いているたんぽぽ。
それを持っていく事も楽しそうな顔をする。
「アイニャ、それは町の近くにも咲いているよ」
「あら、じゃあまだ沢山食べれますのね♪」
「それは雑草だからさ……もっと美味しいのがあるんだ」
「まぁ……それは楽しみですわ♪こんなに綺麗で黄色くて可愛いお花より美味しいものだなんて♪」
雑草を可愛いと言える彼女。
色々なものに興味をもつ彼女は僕の腰についた薬草入れが気になったようだ。
「リセンタ、腰につけているそれは?」
「これ?これはね、回復薬を作る薬草だよ」
「美味しいのですか?」
「これは苦いからやめた方がいいよ……って」
話の途中で1枚の葉をとって口に入れてムシャムシャすると……
「ん〜〜〜♪」
苦味が好きなのか、とても美味しそうに顔を緩めていた。とてもじゃないが、普通の人で苦すぎて吐き出してしまう程のもの。
魔族の味覚が違うのだろうか。彼女の言動や素振りにだんだんと興味が湧いてきてしまう。
「ごちそうさまっ♪さぁ、はやく連れていってくださいなっ」
とにかくスキンシップが恥ずかしくなる。出会ったばかりなのに、僕の腕に掴んで、くっついて歩き始める。
そして、顔が合えば、ニコッとしてみせる。
調子が狂いながらも、2人で町に向かっていった。
進んで行く道々で気になるものがあれば何でも聞いてくるアイニャ。いつも採取している薬草も、食材になるきのこや木ノ実も彼女に聞かれれば、なんだがまた新鮮なものに思えるようだった。
彼女の事もひとつひとつ分かってきた。
とにかくアイニャは
なんでも食べようとする事。
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