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勝手に取ったきのこを食べているが……
「えっ?それ……毒キノコだよ!」
明らかに毒々しいいろと模様をしたきのこをそのまま食している彼女。
そんなきのこを美味しそうに食べる人を見たことはない。
「スキル……身体解析」
「あら、なんですの?」
身体の毒素を調べる為に、彼女の体内をスキャンしてみると、毒素はすぐに消化されてなくなっていた。
(凄い、神経毒をすぐに中和出来るだなんて。ん……でもまって、薬草が消化されていない?これは消化器官を癒せるはずなのに)
「あの、リセンタ?」
「……はい?」
モジモジと恥ずかしそうにするアイニャ。
「そんなに身体をジロジロ見られると……なんだか恥ずかしいですわ」
「わわわ!ご、ごめんね!君の身体に興味があって……つい」
「そ、そんな大胆な……♡」
「あわわ……!ち、ちがくてそういう意味じゃないよ!」
恥ずかしそうに赤らめる顔をして、ちょっとだけ距離を置かれてしまったが、今はその方がいい。
僕も恥ずかしくなって先に歩き始めてしまう。
まだまだ未熟な僕はこの時、ミスをしていた。森には猛獣が出る故に、気配察知のスキルを常に発動しているが、この時は忘れてしまっていた。
だからしばらく歩いていると……
アイニャが何かを見つけた。
「リセンタ……あの大きな生き物はなんですの?」
「……へっ?」
「茶色くて、大きな生き物ですわ」
茂みをよくみると……
3メートルはある大きなクマ。
このバレッジ地方に生息する凶暴な動物だ。
それが立ち上がってジッと見ていたのだ。
「あぁ…や、やばい……バレッジベアだ」
何も知らないアイニャはそれを見て……
「よく見ると可愛いですわ♡お~いバレッジベアさん、こんにちは〜♡」
愛くるしく手を振ってしまったのだ。
「い、いやぁぁぁあ!やめて!あれは人を襲うんだよ!」
「……まぁ!」
これはすぐに逃げなくてはいけない。バレッジベアは四足歩行になって駆け出してきた。
思わず、彼女を抱えて走りだす。
「スキル、瞬足……!」
脚の力を強化して走るが、運悪くあれはボス級のバレッジベア。スピードが早く、追いつかれてしまいそうだ。
「は、速い……!」
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