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彼女は人気者だった。 彼女は小学5年生の頃に転校してきた。 名前は、『シアン・バーナード』で。 僕は彼女が転校して来た日に休んでいて、彼女の存在を知らなかった。 だからあの日話しかけられるまで、名前も見た目も知らないクラスメイトに、自分と似た見た目をした人がいるとは思わなかった。 彼女に出会うまで、クラスにいて学校にいて、ずっと自分が気持ち悪くてしょうがなかった。 僕は異常で、そして、僕以外が正常な世の中だった。 学校の中で、帰る時だって、どこを見ても僕と同じ見た目の人はいない。 僕は違和感を覚えていた。 そんなある日のことだ、先生が頭を強く殴ってきた。 背後から、思いっきり。 僕は痛くて頭を抑えた、その時。 「校則違反だぞ。なんだその髪は、茶色に染めおって不良か。頭を抑えて、バレてから隠そうとするくらいなら、はじめから染めてくるな。分かったか、はいは?」 僕は、なにを言われているのかわからなかった。 ただ痛くて、涙が溢れてきた。 どうしようもなく、涙がとまらない。 僕は泣いて、 「ごめんなさい」 と何度も、何度も、言った。 気づけば周りは騒がしくなっていた。 他の先生たちや同級生なんかが何人も集まっていて、恥ずかしい。 先ほど僕を殴った先生は、大きな声で他の先生と話している。 僕の近くには若い女性の先生が来てくれた。 「大丈夫? 痛くない?」 でも涙が止まらない。 若い女性の先生は頭を撫でてくれる。 「たんこぶ出来ちゃうかもしれないから、保健室いこっか。」 僕は、もう良くわからなくない。 優しい声が、相手を見るたびに怖く感じる。 「僕が悪くて…全部…」 しゃべればしゃべるほど、涙が出てきて苦しくなる。 若い女性の先生はまた僕の頭を撫でて、僕の手を握る。 行こ、そう言って手を引かれて歩く間。 心が苦しかった。ズキンズキンっと痛んだ。 その痛みが強まるたびに、 「ごめんなさい、ごめんなさい」 僕は言い続けた。 そう言うたび、痛みが少し和らぐような気がした。
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