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シアンとはじめて会ったのは、まだ恋愛と言う言葉すら知らないほど幼い頃だった。 「なに読んでるの?」 彼女は、僕に話しかけてきた。 しかし僕は自分以外に誰か周りにいないかと、首を動かす。 周りを見ると何人も人間がいて、僕に話しかける奴なんていない。 こいつもそうで、僕は、こいつが話しかけた人の間に居るだけだ。 そう思って、下を向いて、手元の文庫本をふたたび開き読み始める。 少し時間が経って、文庫本を少し右に動かして、右下に少し目を向ける。 まだ話しかけてきた時と同じところにやつはいた。 「……。」 読書が進まない、こいついつまで居続けるつもりなんだ、読書の邪魔なんだけど、そもそも人間と話したくないし、さっさとどっか行ってくれないかな。 大体、なーー。 「その本面白い?」 「え、? あ、ごめんなさい、面白いで、す。」 僕はキョドッた。 右にいたやつは僕の前の席に座る。 僕は身構えた。 「どんな本なの?」 「……。」 下を向いていると、顔を汗が流れてくる。自分のズボンをじっと見つめる。 お前がいたから全然読み進められてなくて、全然内容頭に入ってないし、今日読み始めた本だし、マジ責任とってほしいし、慣れ慣れしくしーー。 「聞こえてる?」 「え? あ、その、その、しゅ、主人公がカッコよくて、で、その、仲間、達と冒険したり、するお話です……。」 内容もろくに頭に入ってもいないのに、口は動いた。 少ししてから目の前で椅子が揺れる音がした。 そうなんだ。目の前のやつは言う。 「うーん、気になるから聞くんだけど、どうしてロブくんはいつも一人でいるの?」 え? 一人? いきなり言われた。なんでそんなこと言うの? そう想った。 僕は顔を目の前に向ける。 「しnーー。」 しかし、目の前の子の顔を見て言葉が出なくなった。 「それは、その、あの」 再び下を向く。 ボソボソと口を動かして、何を言えばいいかーー。 「言いたいことがあるなら、言いなよ」 目の前の子は、今までよりも強い口調で言ってくる。 口が上手く動かない。張り付いたくちで声で、僕は言う。 「そ、そっ、な、なんで目が青いの?」 僕は口を動かした。 ちゃんと聞こえたかもわからない声で。 少し間が空く、少し上を見る。 彼女は、きょとんとした顔で僕を見ていた。 「君だって、青いじゃん」 その子は少し笑っていて、僕の顔も動く。 その子の青い目には僕の青い目が映っていた。
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