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喧騒漂う都会の街から少し離れた平地に、小鳥がさえずる小さな森があった。 コンビニエンスストア4つ分程の敷地のその森にはロブおじさんという人が住んでいて、今日も7匹の小鳥と共に森の中で暮らしている。 ロブおじさんは自然が大好きで、都会が嫌いだ。 自宅の横では畑を耕し、湖で水を汲み、ときに小鳥と戯れながら、定年退職後の残りの余生を過ごしていた。 「ジミー、もう腹が減ったのかい?」 お腹の肥えた青い小鳥がロブおじさんの肩へと降りた。 ロブおじさんはジミーの頭を撫でる。 チーチキキキキー。 ジミーは鳴く、ロブおじさんは手元に持っていたパンの耳を与える。 「ジミーお前は本当に食いしん坊だな、さっき昼ごはん食べたばかりじゃないか」 チーチキキキキー。 食べ終えたあとジミーは鳴く、そして翼を上下に動かしロブおじさんの肩から飛び立っていく。 飛んでいくジミーをロブおじさんは見つめる。 「また太ってしまうな」 ロブおじさんは苦笑いをする、その時。 ジミーのお尻から小さく白いものがいくつも出てきて、地面に向かって落ちていく。 ロブおじさんはそれを見て、声に出して笑う。 「またすぐに来るかもしれないな」 パンの耳の入った袋を机の上に置き、近くの椅子に腰掛ける。 座って、空を見つめる。 いつまでこんな暮らしが続けられるか。 ロブおじさんは呟いた。
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