狂炎の魔術師は過去を語る

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 クリスさんの混乱スキルは強すぎるため、範囲が広がってしまう。敵だけではなく味方まで混乱する恐れがあった。だからといって後方にいては意味が無いが前線に出られるほどの腕もない。  そこでスキルをかける対象を味方や敵ではなく土人形のゴーレムや使い魔などにした。しかし、混乱したゴーレムや使い魔が同士討ちをしてしまい、この方法も断念したという。 「そんなことが続いたある日、先生が突然、火球に混乱スキルをかけてみてはと言ったんです」 「突然、ですか?」 「ええ。先生の元に届いた手紙に花火について書かれていて、それで思いついたと言っていました。無生物であるゴーレムにかけられたのだから可能なはずだと。言われたとおりやってみたら火球があちこちに飛び跳ねて……。あの時は庭を燃やしかけて両親に叱られましたが私も先生も手応えを感じました」
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