狂炎の魔術師は過去を語る

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 それからクリスさんはスキルの範囲を限定しつつ、複数の火球に付与するという特訓を続けた。元々魔法の素質はあったため、養成学校に入る頃には火球5つ程なら制御できるようになったという。そこでさらに才能を開花し、在学時代からS級魔術師に認定された。卒業を控え、軍の魔術部隊への配属が決まった頃、先生と再会したそうだ。  王都の軍の養成学校に入った少し後、先生も王都の大学に戻ったため連絡は取り合っていたそうだ。 「村にいた時から私は先生に好意を抱いていました。14歳という多感な時期で、村には年の近い子どももあまりいませんでしたから。年上の異性はとても魅力的でした。なので、卒業と配属先が決まったタイミングで告白しようと思ったのです」 「おお、いいですねぇ。それで?」 「……ちょうど、先生も話したいことがあるといい、大学近くの公園で会いました。先生は村に居たときより落ち着いていましたが変わっていませんでした。ただひとつ変わっていたのは……右手薬指の指輪でした」 「えっ」
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