Days22 雨女

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Days22 雨女

 またゲリラ豪雨に遭遇した。これで今年四回目くらいだ。イベント事がある時に限って降るので、この地域の梅雨明け後は基本的にずっと灼熱地獄の快晴のはずなのに、わたしの夏の思い出はほぼ雨。  今日は予備校で模試を受けていた。といっても予備校に籍を置いているわけではなく、模試だけ受験しに来ている。もちろん怒涛の勢いで入校を勧められるのだけど、自分のペースで勉強をしたいわたしはいつも断っている。こういうところに入ると、夜遅くなるのが一番嫌。夜は自宅の自分の部屋で勉強したい。ポモドーロ法、五十分勉強しては十分スマホを眺めるリズム。十分間で飲み物を飲みながら彼やクラスメートにLINEを返す生活。それが一番わたしの肌に合っているのだ。  予備校の玄関ホールで立ち尽くしていると、スマホが鳴った。お母さんが雨に気づいて迎えに来てくれると言ってくれているのかな、と思って見てみたところ、彼だった。 『すごい雨』 『雪がテスト受ける時に限って』 『ウケる』  何もウケていない。 『共テ雪だな』 『雪ちゃんだけに』  全国の雪さんに謝ってください。  ぜんぜん急ぎの用事ではない。家に帰って落ち着いたら返事をしよう。  さて、どうやって帰るか、だ。  ちなみに自宅からここまでは徒歩で来られる距離なのだけど、片道二十分くらいなので、この大雨に降られながら帰るのは厳しい。予備校で自習室か何かを借りて過ごせないかと思ったが、ここの生徒ではないのが引っ掛かる。  やはりお母さんを呼び出すしかないか、と思ってもう一度スマホの画面を見た時、また彼からメッセージが入った。ひやかしなら結構、と怒りの返信を送ろうかと思ったが、彼はこんなことを書いていた。 『俺が車と車の免許持ってたら迎えに行ってあげるのにね』  遠からずその日が来ることを期待してしまい、でもそんな自分自身が傲慢であるように思えてきたりなどもして、わたしはなんだかきゅんとするようなしょんぼりするような、複雑な気持ちをおぼえるのだった。
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