Days8 雷雨

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Days8 雷雨

 今日も雨が降っている。  けれど、今日の雨は古い時代の伝統的な梅雨の降り方で、しとしと、という擬音がよく似合う。  降ったり、やんだり。弱い雨がじわじわと降り、夕方には少し晴れ、また明日未明から降り出す予報だ。夕立、というものはおそらくない。でも、きっともうすぐその季節はやってきて、わたしと彼にとって一周年の記念日が来るのだけど、たぶん彼はおぼえていない。あの男はそういう男で、なんならわたしと付き合っていることすらおぼえているかどうかわからない男で、わたしがカウントダウンしていることなど決して気づかない。  そう、あの日はひどい雨が降っていた。午後からにわかに曇り始め、下校の時間にたいへんな大雨になり、雷が鳴っていた。夕立、という美しい雨ではなく、ゲリラ豪雨だった。  学校から見ると、わたしの家のほうが彼の家より近い。だから、彼にわたしの家でシャワーを浴びてもらって服を乾かしつつ雨宿りをしつつ、という時間を過ごしていた。その時わたしの家には両親がいなかった。わたしは心細くて、で、そういうことになった。  あれから一年経つけれど、その間一度もセックスしていない。  わたしのからだには興味がないのだろうか。貧相すぎるし、テクニックもなくて、嫌になったのだろうか。しかし他に女性がいる気配もない。そもそも彼自身以外の人間に興味があるそぶりを見せない。  こういうことを考えていると、わたしは時々我に返って、わたしって意外と性欲の強い女なのかしら、と思う時がある。どちらかというと独占欲なのだろう、とも思う。いずれにせよ相方に執着しているのはわたしだけで、彼はそうでもないというのを思い知らされる。嫌な気持ち、嫌な気持ち、嫌な気持ち……。  教室の窓の外がしっとりと濡れている。わたしの心もじめじめしている。
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