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その紫色の瞳を、真っ直ぐに見返して――アデライトは、ミレーヌを家庭教師にしたもう一つの理由を口にした。
「……王妃が求める淑女は男性に甘えず、支える為に学び、けれど出しゃばらずに男性に尽くす女性でした」
「ふぅん?」
「確かに王妃として、そして貞節な妻としては求められる姿です。けれどそれは、リカルドの求める女性ではなく……だからこそ、サブリナのように甘えて褒めてくれる女性を選んだと思います。ですがサブリナ自身がいるのに、真似をしても仕方ないでしょう?」
「確かに」
「そして、ミレーヌ様を見て思いました。清楚で上品。たおやかで、自分から甘えなくても見ていて手を差し伸べたくなる……前に言われたことを考えると、リカルドはミレーヌ様のような女性こそ理想なんだと思います」
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