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あと、アリスは自分の生まれにも満足している。
平民だが、商人の家に生まれたので衣食住に困ったことはない。更に、跡継ぎである兄がいる。両親は好きな相手と幸せになれば、と言ってくれるが、そもそもそういう相手がいない。だから家族に勧められた相手に嫁ぐか、勉強したことを活かして働くかだろう。
「そう、わたしは今と未来でいいの……なのに、どうして過去を振り返らないといけないのよ!?」
そう言い捨てると、アリスは机に突っ伏した。
潰さないように気をつけたが、そんな彼女の横には図書館で借りてきた本が数冊、積んである。学校の宿題で、偉人の伝記を読んで感想文を書かなくてはいけないのだ。
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