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「本が好きだから、楽勝なんて言われるけど……伝記だけは、苦手なのに。何か皆、出来すぎって言うか、持ち上げすぎなんだもん……特にこの、悲劇の王妃アデライトとか」
ため息と共に、アリスは一冊に手を伸ばし――そのまま読まずに、八つ当たりのように枕にした。
王妃アデライトのことは、読まなくても何となくは知っている。国の、そして民の為に力を尽くしたが、最期は革命により斬首されるのだ。
だが遺されている王妃の言動は、アリスにはどうもその場しのぎの綺麗ごととしか思えなかった。
「飢饉とかで、苦しかったって言うから……綺麗ごとでも、縋っちゃったのかなぁ……?」
……そんなことを考えながら目を閉じているうちに、アリスは眠りに落ち――そして、不思議な夢を見た。
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