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それは、隠し事はしても嘘はつかないということだ。冤罪で死に、復讐すると決めた時――絶対に、嘘をついたリカルド達と同類にはならないと決めたのである。
あと、傷ついた相手には可能な限り誠実に応えるべきだと思う。それ故、父には伝えていなかったもう一つの理由を伝えると、ウィリアムが驚いて尋ねてきた。
「そうだったのか?」
「ええ……隠していてごめんなさい。お父様……」
父に言えなかったのは、亡き母を引き合いに出すことで気を病むと思ったからだ。しかし、一回目で王宮で暮らし礼儀作法を学んだ時、事あるごとに教師や侍女に「これだから、母親のいない娘は」と言われたのでここは譲れない。
今振り返ると年相応には出来ていたので、単にリカルドに嫌われていたアデライトが侮られていたからだと思うが――巻き戻った今、自分もだが二度と亡き母を馬鹿にさせるつもりはない。
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