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改めて決意をし、ミレーヌを見上げる。
そうすると、ミレーヌもまた真っ直にアデライトを見返してきた。
「……母も、本当に一緒でよろしいのですか? 母は、体が弱いのです。ご迷惑を、おかけするかもしれません」
「お父様……」
「ああ。こちらは、是非にとお願いする身だ。領地に旅立つ前に、我が家の主治医であるパウルに診察して貰おう」
「ありがとう、ございます……精一杯、勤めさせて頂きます。どうか、よろしくお願い致します」
「こちらこそ……ありがとうございます、ミレーヌ様……いえ、ミレーヌ先生!」
最後の憂いも無くなり、再び優美な仕草で一礼したミレーヌに、アデライトは笑ってお礼を言った。
……そんな彼女達を、ノヴァーリスが微笑みながら浮かんで見ていたことを、アデライトだけが知っていた。
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