目論

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 まだ完治した訳ではないが、一回目の母親の死は栄養失調が重度化しての衰弱死だったと思われる。それでも最初は遠慮して、治療を拒もうとした母親をミレーヌは涙ながらの説得で思い留まらせた。そのことに安堵しつつ、アデライトは部屋へと戻った。 「賃金が届いてなかったのは、お手付きになる前からって話だから……王妃が手を回した訳じゃ、ないのかな?」 「そうですね。王妃のお気に入りに対する、嫌がらせだったかも……とは言え、王妃はミレーヌを気に入るあまり、里帰りを許さなかったそうですから。母親が、邪魔だったかもしれませんね」 「で、彼女を選んだのはそれだけの理由?」  そう尋ねて、宙に浮かんでいたノヴァーリスがアデライトの顔を覗き込んできた。
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