提言

5/5
前へ
/377ページ
次へ
 だからこそウィリアムの返事を待つ間、アデライトは怖かった。  そんなアデライトに、相変わらず表情は変わらないが――静かな声で、ウィリアムは言った。 「……作物や薔薇を育てたり、新たなことを実際に始めるのは領民だ。私達が命じて、無理にやらせることは出来ない」 「はい……」 「だが、確かに良い案だ。一緒に考えよう。そして皆に、話してみて……もし頷いてくれたら、やってみよう」 「っ! ありがとう、お父様っ」  そして女子供だからと頭ごなしに拒まず、柔軟に受け入れてくれたことにアデライトは俯いていた顔を上げ、満面の笑みでお礼を言った。
/377ページ

最初のコメントを投稿しよう!

87人が本棚に入れています
本棚に追加