令和式部日記

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「うっそ…」 「嘘ではないですよ。」 物音を立てずに私の背後にやってきた晴明(仮)がさらっと言ってきた。 「奇術で貴女をここに召喚したのはこの私。貴女は道長様のご命令を遂行していただきます。それが無事完了すれば、すぐに元の世界に返して差し上げましょう。」 め、命令!?ていうか、 「そんなっ…」 私、本気でタイムスリップしてきたわけ? 噓でしょ?無理、夢であってほしい…! 「夢、…これは夢、これは夢…!」 「愚かな小娘め。夢ではないぞ。本当にこんな貧相な娘に我が命令が遂行できるのか?」 私のことを虫けらを見るような目付きで見てくる道長。晴明はそれに対し、しっかりと頷いた。 「問題ございません。この安倍晴明がしかと保証いたします。」 「ならばお前の言葉を信じよう。小娘、この儂が直々にお前に命令をくれてやろうぞ。」 道長はこういうと扇で私の顎をくいと持ち上げた。 「わが娘が一条天皇の元に嫁入りすることが決まり、姫の世話係としてとびきりの才媛を集めたいと思っている。既に方々に依頼し順調に集まってきてるのだが、一人どうしても了承しない者がいるのだ。お前にはその女を説得してもらう。」 は!? 道長の言葉に私は目を丸くした。私が説得?馬鹿じゃないの、いきなり違う時代に連れてこられて、わけわかんない状態なのに説得とか無理に決まってる!! 「嫌だ!!できるわけない!!」 「道長様のご命令に従うことができぬなら、貴女は永遠に元の時代に戻れませんよ。」 晴明の言葉に思わず口を噤む私。 ず、ずるい、それを持ち出してくるのマジでずるい…!!黙る私を見て、道長は勝ち誇った笑みを浮かべた。 「儂の命令を遂行できるよう、しかと励むことだ。…それにしてもお前は見れば見るほど凄まじい醜女だな。やせ細って、髪も短く切り落として、女としての魅力が全くない。」 「はああああ!!?令和はこれが普通なんだよっ、この下膨れジジイ!!!」
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