お見舞い申し上げます

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「いや〜、もうトミナガはんが倒れたって聞いて、びっくりしましたわ」 次にトミナガさんを訪れた客人は、さっきのご婦人とは真逆の感じがする。 トミナガさんの人脈の広さ、おそるべし。 「慌てて新幹線に飛び乗って、ちょっとでも早く着かへんかな〜思って、車内でも駆け足で走ってましてん。せやから大阪から来たにしては、早いでっしゃろ?いや、これは冗談、冗談」 こういうのを、コテコテって言うのだろうか? 「肉まんとチーズケーキを買うてきましてん。好きでっしゃろ?ほんまはタコ焼きを買うてきたかったんやけど、ここに来るまでに冷めてしまうよってに、泣く泣く諦めましたんや。私が知ってるとこ、めちゃめちゃ美味しい店ですねん。トミナガはんに食べて欲しかったんやけどな〜。そや、退院しはったら、大阪にタコ焼きを食べに来はったらよろしいわ」 この人が知ってる美味しいタコ焼き屋は、本当に美味しいような気がする。 なんだか謎の説得力がある。 「ところでトミナガはん、さっきから一言も喋りまへんけど、私が誰か分かってはります?」 これだけ立て続けにしゃべられたら、そりゃあトミナガさんは一言も発せないだろう。 大阪の人が言うところの「ツッコミ」をしてみたくなった。 「ヒガシノさんでしょ」 「ピンポーン!大正解!」 ヒガシノさんの嬉しそうな声が、病室内に響き渡った。
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