お見舞い申し上げます

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「あー良かった!生きてた!」 なかなか不穏な言葉を発しながら、トミナガさんと同い年くらいの女性が入ってきた。 「トミちゃんが倒れてるのを見た時、生きた心地がしなかったんだから」 トミナガさんって、苗字の方であだ名をつけられるタイプなんだ。 「呼びかけても返事がないし、このままトミちゃんが死んじゃったらどうしようって、凄く怖かったのよ。生きて動いてる所を見れて、本当に良かったわ」 そう言うと、女性はわんわんと泣き出した。 ご高齢の方がこんなに大声を出しながら泣くのを、私は初めて見た。 実際の時間は分からないけれど、私の体感では5分以上は泣き続けた後 「ところで、私の名前は分かる?」 と、その方はおっしゃった。 「ウメちゃん、ありがとね」 トミナガさんは言った。 ウメちゃんは苗字から来ているのか、名前から来ているのか。 私は気になったけれど、さすがに聞けないと思った。 それからウメちゃんは、トミちゃんが倒れているのを見つけた時にどんな風にパニックになり、どうやって自分を落ち着かせて119に通報し、救急車が来るまでどんな思いで過ごしたのか、ことの一部始終を詳細に語った。 情感たっぷりに語るウメちゃんは話すのが上手で、私はついつい手に汗を握りながら聞き入ってしまった。 すっかり感情移入した私は、ウメちゃんが帰る時には 「ウメちゃん、見つけてくれてありがとね。お疲れだろうから、今日はゆっくり休んでね」 と、自然と心の中でウメちゃんに声をかけていた。
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