1.腹黒いシンデレラ

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「もしかして、あとで代金を請求するパターンですか?」 「詐欺でもないって!」 「ふふ、詐欺師は詐欺じゃないって言い張るんですよ」  シンデレラは微笑むが、その瞳は全く笑っていない。  どうしてこんなにも彼女は警戒心が強いのだろうか。  シンデレラはこんなにも疑い深い人物なのか。  神から伝えられたお告げ通りなら、舞踏会に行けると伝えると「本当!? 嬉しい、ありがとう魔法使いさん!」と手を組んで目を輝かせるはずなのに。  シゼルは自分の思い描いていた展開通りにいかず、焦りを滲ませる。 「君、シンデレラだよね? 間違ってないよね?」 「あら……名乗った覚えはありませんが」 「だから俺は魔法使いで……君を明日の舞踏会に連れて行ってあげようと……」 「ご厚意はありがたいですが、私は舞踏会に興味ありませんので。残念ですが他のお嬢さんに声をかけてください」  ぴしゃりと突き放され、シゼルは唖然とする。  彼が口をあんぐりと開けているとまた扉を閉められそうになり、ハッと我に返った。 「いやいや! 興味ないって嘘だろ!? シンデレラは舞踏会へ行きたいはずだ!」  引き下がらないシゼルに対していい加減怒ってもいいはずだが、シンデレラは気を悪くするどころか唇の端を上げて、クスクスと声を漏らした。  どうやらこの状況を面白がっているらしい。 「ふふふ、本人が行きたくないと言っているのに面白いですね。その根拠は何ですか?」 「だって……ほら、君、継母や義姉たちから虐められてるだろ? だから……」 「いいえ、別に虐められていませんよ?」 「えっ」  シンデレラは後ろを振り返り、口の横に手を添えてわざとらしく名前を呼ぶ。
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