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「……君は一体彼女らに何をしたんだ……」
「大したことは。料理を作れと言われたので、捕まえてきたカエルを大量に入れた栄養たっぷりのスープを作り」
「カ、カエル!?」
突然出てきたカエルのワードにシゼルはぎょっとして立ちすくんだ。
カエルは魔法薬の調合で使うことはあるものの、シゼルが食用で使うことはまずない。
もちろんこの世界においても、カエルを食べるような文化はないのだ。
そんな人たちにカエルが大量に入ったスープを提供などしたら……想像して、シゼルの顔が一瞬で青白くなる。
シンデレラはシゼルが気分を悪くしていることに気付いているのかいないのか、僅かに声を弾ませる。
「次に洗濯をしろと言われたので、なら香り付けをしてあげようと、余ったカエルの煮汁で衣類を洗い」
「カエルの……煮汁ッ……!?」
「その後掃除をしろと言われたので、せっかくだから模様替えも兼ねて、スープを作る際に血抜きしたカエルの血で床を拭きました」
「君はカエルに何の恨みがあるんだ!?」
余すとこなくカエルを使った嫌がらせのオンパレードだ。
華奢な身体と無垢な美貌を兼ね備えた儚げな見た目からは、そんな残酷なことを簡単にやってのけてしまうとは到底思えない。
しかも罪悪感など一欠片も抱いていない、そんな笑顔を添えている。
「お義母さんやお義姉さんは、カエルが大好きなんです。だから、とても喜んでくれると思って」
意地悪をしてくる義母や義姉たちに喜んで欲しいなどと、微塵も思っていなかったことなど明白だ。
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