ツクモガミン

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 パリン…と透明な円柱が割れた瞬間、中に入っていた水色の液体はすぐさま気化して拡散し始める……。 「な、なんということじゃ……」 「わ、わたしの研究成果が……」  気化すると無色透明なために視認できないが、ラボ内を満たすそのガスに、二人はお互いに違う意味で驚愕している。  と、その時。部屋の隅に置かれていた医療用廃棄物入れの箱がガタガタ…と不意に激しく揺れ出し、中にある割れた試験管や注射器がひとりでに外へと溢れ出す……いや、溢れ出すばかりか、それらは驚くことにも空中に浮かんでいるではないか! 「ま、マズイ! Dr.アシア、早く逃げるんじゃ!」  その現象に何かを察したDr.アベは、慌ててアシアを促すとともに自身も出口の方へと踵を返す。 「ひ、ひぃ……」  だが、あまりのことに固まったまま動けずにいるアシアへ、宙に浮かんだガラス片や注射器の群が、その鋭利な先端を向けて一斉に飛びかかった──。
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