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一方その頃、町外れにある粗大ゴミの一時保管場所では……。
「──ヒャハハハハ…! 花火やろうぜ花火!」
「ツマミ足んねえぞ! チー鱈も開けようぜ!」
勝手に入り込んだ若者の一グループが酒を飲んで浮かれ騒いでいた。
人数は男四人の女二人、皆、まだ十代のバッドボーイ&バッドガールで、特に警備もなく放置されているここを溜まり場にしているのだ。
「ねえ、ビール終わったから冷蔵庫の出してくれる?」
廃車のボンネットに座って談笑したり、花火を持って周りを走り回ったりする中、一人のギャルな少女が仲間に注文をつける。
「OK! 今、持ってきてやるよ」
その言葉に、金髪のチャラい少年が返事をすると、背後にある冷蔵庫の方へと近づいてゆく……だが、薄汚れた白く分厚いドアを開いてみても、中には何も入っていない。
「…って、入ってるわけあるかーい!」
あえてドアを開けて中を見るところまで演じてみせた少年は、そこで振り返ってノリツッコミを入れる。
無論、こんなゴミ捨て場の冷蔵庫に電気が通っているわけもなく、少女の言葉はこのフリだったのである。
「……え? なに?」
ところが、ここで仲間達が爆笑してくれるかと思っていたところ、振った少女をはじめとして皆が目を見開いて固まっている。
「え、どうしちゃったの? みんな。そんなにおもしろくなかった?」
「あ、あんた……う、後……」
ノリツッコミがスベったかと心配になる少年だが、そんなことどうでもいいとでもいうように、少女は震える指で彼の背後を指し示す。
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