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三口目 願い事の代償
麻理が目を覚ますと、自分の部屋だった。
え…私、どうしたんだっけ…?
ふと、女の艶やかな唇が記憶の端に浮かび上がった。
ベッドからガバッと身を起こす。
そうだ!私、影喰い様に会いに行ったんだ!
願いは、自分の願いはどうなったんだろうか…。
麻理は、薄暗い部屋の中で、自分の影を見て思わず息を呑んだ。
胸の辺りから上が、まるで引き千切られたようにない。
麻理の頬に、うっすらと笑みが広がった。
願いが、叶ったんだわ…。
あの女がどうなったのか、まずは確かめなきゃ!
麻理はカーテンを開けようとした。
「痛いっ!」
目だけではない、体の陽の光に当たった部分がズキズキと痛む。
…これじゃ、今日は会社に行けそうにないわ…。
とりあえず、会社の上司には体調を崩したと言って会社を休む事にした。
私がこんな思いをしなくちゃいけないのも、全部あの女のせいよ!!
調べなきゃ…どうなってるか知りたい!!
麻理は同僚にメッセージアプリを入れる。
『園田さんが出勤してきたら教えてくれる?』
数時間後、同僚から返信。
『園田さん、昨日の怪我が思ったよりも酷かったらしくて、後遺症が残りそうとかで、退職するらしいよ?』
麻理は、スマホを握りしめた。
歪んだ笑みが、顔いっぱいに広がってゆく。
薄暗い部屋の中に、麻理の笑い声が響き渡った…。
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