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先輩のことが好きだった。
常に冷静で私の苦手な勉強や発表を手助けしてくれる、優しい先輩のことが。
そんな先輩に私の作ったお弁当を食べて欲しくて料理にも挑戦してみたんだけど、油が跳ねたり手順を間違えたりしていつも失敗で終わってた。
いつもそう。発表も料理も手術も、いつも必ずどこかでパニックになってそのまま終わってしまう。
はぁ、どうしてだろう。誰かを好きなると自分のことが嫌いになる。そしてだんだんその人のことも嫌いになってくる。もう先輩のこともどうでも良いや。私の糧になってもらおう。
私の目の前で横になっている先輩は目を覚ました途端に「なんで」とか、私の名前を連呼したりしてパニックになっている。
無理もないのかな。今までもパニックにならなかった人なんていなかったし。
いつから始めたかわからないこの作業も、もう3回目になる。
私がパニックにならなければ、自分のことが嫌いにならなければ、私は次の恋ではきっと成功する。
だから先輩、私の糧になってください。
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