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12 反則だー!
姿勢が低くなると、奴のバッグに視線が行く。
「……何ですか佐久田くん、その荷物は」
「ああ。しばらくここに居させてもらおうと思って」
「そんなお前、一方的な」
「俺達はいつ召集されるか判らないんだぞ。その時には俺はお前の側に居たい」
「どうしてそんな恥ずかしい台詞を言えるんだあ!」
「さっきも言ったろう。好きだからだ。お前は絶対気付いていないだろうと思っていたが」
「まさかお前、それで俺と同じ高校大学……」
「当然」
胸を張るな胸を。
「お前はどうなんだ?」
佐久田は腰を屈め、俺と目線を合わせる。
思わず俺は後ずさり。
だが奴は退いた分だけ寄ってくる。
やがて俺は背中がシンク下につくのを感じる…行き止まり。
俺は大きく息をつくと、がくんと首を前に落とした。
「……なあ佐久田」
「うん?」
「俺さ、こういうことで知りたくなかった。お前の気持ち。……知られたくなかった。俺の」
言い終わる前につ、と顎に手を掛けられた。
そこでキスするなんて、反則だ。
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