4人が本棚に入れています
本棚に追加
3 誰だ貴様は
「なあ、戦争って今言った?」
俺は横に座っていた佐久田の顔を見た。
「そう聞こえた」
「何それ。お前もアレはネタと思ってる方?」
「いや……」
黒い四角いフレーム眼鏡の下の視線が動き、奴が何か言いかけた時。
画面が切り替わった。
穏やかな色彩の某公共放送のスタジオから、サイケデリックな色彩が閉じたり広がったりを繰り返す映像に。
悲痛な声のアナウンサーから、嘘臭い笑みを満面にたたえた国籍不明の金髪男に。
浮かび上がった彼は、美男子でありながら、オールバックにチョビ髭、そしてロイド眼鏡。
そんな男の顔が、ぐい、と目を中心に広角レンズを使った様にズームアップ。
『わっかりませんかー? それではわっかる様に正確に言いますよぉ。今からアナタ方に、戦争をしてもらいましょ、ということです』
金髪男は嫌らしく笑いながらその口を動かす。
『アナタ方はよぉやく、ここまで育ってくれた。我々は、とても、嬉しい。さぁて、さぞ、これからのゲェムは楽しいものになるでしょうねえ』
「ゲームだって?」
佐久田の声が俺の耳に飛び込んで来る。
冗談じゃねえ、というつぶやきと共に。
『さて、それでは今から各「国」という名の共同体を全て分断しまーす。はいっスタート!』
最初のコメントを投稿しよう!