3 誰だ貴様は

1/1
前へ
/17ページ
次へ

3 誰だ貴様は

「なあ、戦争って今言った?」  俺は横に座っていた佐久田の顔を見た。 「そう聞こえた」 「何それ。お前もアレはネタと思ってる方?」 「いや……」  黒い四角いフレーム眼鏡の下の視線が動き、奴が何か言いかけた時。  画面が切り替わった。  穏やかな色彩の某公共放送のスタジオから、サイケデリックな色彩が閉じたり広がったりを繰り返す映像に。  悲痛な声のアナウンサーから、嘘臭い笑みを満面にたたえた国籍不明の金髪男に。  浮かび上がった彼は、美男子でありながら、オールバックにチョビ髭、そしてロイド眼鏡。  そんな男の顔が、ぐい、と目を中心に広角レンズを使った様にズームアップ。 『わっかりませんかー? それではわっかる様に正確に言いますよぉ。今からアナタ方に、戦争をしてもらいましょ、ということです』  金髪男は嫌らしく笑いながらその口を動かす。 『アナタ方はよぉやく、ここまで育ってくれた。我々は、とても、嬉しい。さぁて、さぞ、これからのゲェムは楽しいものになるでしょうねえ』 「ゲームだって?」  佐久田の声が俺の耳に飛び込んで来る。  冗談じゃねえ、というつぶやきと共に。 『さて、それでは今から各「国」という名の共同体を全て分断しまーす。はいっスタート!』
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加