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教室。
ずらりと並んだ机。
目の前に置かれたテスト用紙と鉛筆。
静寂の中、カリカリと紙に芯が削られる音が響く。
だが俺は、目の前の紙を見てただ狼狽えることしか出来ずにいた。
(何だこれ……訳がわからない!)
テストの問題が分からない。
何をどうすればいいのか分からない。
周りの学生たちはどんどん問題を解いていくのに、俺は何も出来ずただ焦るだけだった。
(どうしよう、どうしよう……!
俺は優秀なのに。優秀でなければならないのに……!!)
時間だけが過ぎて行く。
気持ちがいっぱいいっぱいになる。
心臓が嫌な音を立てて高鳴る。
頭が真っ白になって今にも叫び出しそうになった時、背後から誰かに肩を叩かれた。
「なあ」
「え?」
見れば、クラスメイトだったスズキが怪訝な顔をして俺を見ていた。
途端に、俺は悲鳴を上げた。
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