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10:変わるために
昨日、父に怒ってしまって。
雨が好き、そう言っただけなのに恥ずかしいと感じた。
あまり眠れなくて、朝早く起きてしまった。眠いから二度寝もやめて学校へ向かう。
電車に乗って学校の最寄り駅を降りた。
「振り返れば♪ 君と歩いた あの日の道♪ もう隣に君はいないよ♪ 僕は走り出した♪」
シラユキさんの声だ。
慌ててベンチへ向かうとシラユキさんは合羽を着て歌っていた。
まだ僕に気づかない。
「君に恋した僕が馬鹿だった♪ 恋させた君は罪人だよ♪ いつか流れる 君の横顔に見とれてしまっ……、ひゃあっ!」
ノリノリで歌っていたが、ついにバレた。
「ミチルくん?」
「うん。また歌ってる?」
「こう見えて毎日。合羽着ることにしたけど」
「楽しそうだね」
「からかってる? また盗み聞きして。もしかしていつも聞いてた?」
「今日はまたまた早く着ただけ」
「分かった。私、友達頑張ることにした。雨降ってるうちにね! 仲良くなって」
シラユキさんは楽しそうだった。
この日は僕と遊ばなかった。
隣にクラスメイトを連れていた。
それから数日。
シラユキさんはクラスメイトと仲良くしているらしい。ひと安心だ。
今日も遊びに行くらしい。
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