4:雨の制御

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4:雨の制御

 家に帰る。  夕食まで部屋で課題と授業の予習を進める。  そろそろかなとリビングに行くと、テーブルに雑にパックの弁当と割り箸が積んであって、父が頭を抱えながら麦茶を啜っていた。  どうやら。 「休みがなくなった。天気制御装置が壊れたんだ。元々大幅な使用材料の規制で設計者が想定していた部品が調達できていないまま運用したらしい。それの修理で忙しくなりそうだ。会社としての損失も小さくない」 「でもあなたが悪いわけではないでしょ?」 「分かってるが。明後日で梅雨を終わらせなければならなかった。そういう計画だったが、制御装置が直るまで雨がやまない」  父は天気制御装置の管理もしていたのか。  母はそろそろ食べましょうとテーブルに着く。  天気制御装置が壊れた。梅雨が終わらない。  憂鬱な日々が伸びてしまう。  ……でもシラユキさんは嬉しいのだろうか?  流石に梅雨が伸びるのは喜ばないだろうか?  偉い専門家や信仰深い人が聞けば、人類が天気を自由自在に制御しようとした罰だと怒るのではないか? 「まだ傘の出番は続くんだ」 「ミチル、すまない」 「僕にとっては大事じゃないから」  運動部でもないし、登下校が少し面倒なだけだ。  
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