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5:梅雨の延長
朝起きるとリビングには誰もいなかった。
父は早朝から仕事へ出掛けて、母は父の支度を手伝い、僕と父の弁当と僕の朝食を準備して、疲れて寝室で眠っているらしい。
天気制御装置が壊れてしまった。それは、ニュースで大きく取り上げられており、取材では不安や不満の声が集まっていた。
計画的に雨を降らす技術は、天気予報の概念を崩壊させた。
今のようにいつやむか分からない雨に悩まされ苛立ちを覚える様は、天気は人類が管理するものであるという傲慢さを感じる。
なんて説教くさい考えを持ったところで今日も梅雨なのだ。
学校へ行く。
「なあ、ミチル。知ってるか、梅雨延びたって。いつまでか分からないって。ようやくサッカーできると思ったのにまた筋トレメニューじゃん」
「そうか。運動部は大変だな」
「そうだよなぁ。雨降ってるし学校休みにならないかな?」
「ならないでしょ」
ヒロは調子良さそうだ。
僕の父が天気制御装置の関係者だと分かれば友人はどう思うだろう?
少しだけ怖かった。
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