6:雨少女との再会

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6:雨少女との再会

 誰もが天気制御装置が壊れた話をしている。  ヒロはまた筋トレかと嘆いていて。  胸が痛んだ。  電車で帰っていると。  金髪の少女がいた。  窓から外を眺めて目をキラキラしている。  シラユキさんを電車の中で見るのは初めてかもしれない 「ふぁ、ふ」  シラユキさんは僕に気づいて目を丸くする。 「驚かせるつもりじゃなかったけど」 「ミチルくん、珍しそうな顔して」 「電車内で初めて見たかもって」 「家の方面は逆方向だから」 「そうなの?」 「今日は雨だから。てきとーな駅で降りて散策します!」 「楽しそうだね」 「せっかくの雨なので」 「そうか。あの、」  楽しそうなシラユキさんの邪魔をするわけじゃない。  でも、憂鬱で、嫌がる人が多い梅雨の延長をどう思っているのか?  雨がどうして好きなのか?  気になることばかりだった。 「そうですね。ミチルくん、予定ありますか?」 「今日? 暇だけど」 「一緒に来てください。私の下手な歌を盗み聞きした罰ですよっ!」 「罰って。綺麗だったけど」  シラユキさんは顔を赤くして、咄嗟に顔を手で隠した。窓に表情が反射していたらしい。 「ということで来てください!」 「いいけども」
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