7:雨の日の冒険

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7:雨の日の冒険

 この駅ですね! とシラユキさんは強引に手を引いてくる。  柔らかくて温かい手で腕を掴んでくるものだからドキッとしてしまう。  僕しか気にしてはないと思うけど。  電車を出るとシラユキさんの手が離れた。 「駅近くにみたらし団子あるみたい。一本八十円でなんともお値打ち!」 「楽しそうでなにより」 「はいっ」    傘を差して改札を抜ける。 「ここですね!」 「はい、お嬢さん。うちの団子美味しいよ」 「四本ください」 「元気いいね、三百円でいいよ」 「本当ですかっ!」  シラユキさんがさっさと団子を購入した。 「ミチルくんどうぞ」 「いくら渡せば、」 「私が強引に誘ったので」  片手に傘、もう一方に団子というのは手が痺れる。  でもシラユキさんは楽しいらしい。 「どうして雨が好きなんですか?」 「晴れが苦手だから」 「苦手?」 「ふーん。乙女の秘密だけど?」 「え?」 「うん。でも隠してることじゃないから。私は肌も髪も薄いでしょ?」  薄いと言われてパッと理解できなかった。シラユキさんが傘を上げると言いたいことが分かった。  白色混じりの金髪も、人形のような真っ白な肌も。 「特に肌が弱くて。晴れの日は日に当たらないように厚着するから大変っ!」  だから自由にお出掛けできないらしい。
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