8:雨好きのわけ

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8:雨好きのわけ

 帰りに偶然シラユキさんと出会った日から、僕はシラユキさんと雨の日の大冒険をしていた。  既に四回目である。  梅雨が延びたのは面倒だと思っていたけれど、シラユキさんの話を聞くと良かったのかもしれない。 「ミチルくん、映画観に行こう!」 「せっかく雨なのに?」 「普段も雨の日しか行かないの。駅から映画館までの道のりでさえ火傷するから」 「どこの?」 「それはね!」  ここしかない! とシラユキさんに呼ばれたのは僕の最寄り駅だった。 「どう? 私のリサーチ力にびっくりしましたか?」 「僕の最寄りだ」 「ならミチルくんには新鮮味がないです。失敗ですう」 「いいよ。案内するから」  アクション映画を見た。  興奮が覚めないままドーナツ屋チェーンでチョコがコーティングされたメジャーメニューを食べて。  お菓子屋でグミを購入した。 「楽しかった! ゲームセンターも行く」 「いいけど」 「ここならあるって思うの!」 「どうしてもやってみたいものがあって。メダルゲームだよ!」  とシラユキさんに連れられた。  メダルゲームって高いよなと思いつつ、僕とシラユキさんは千円ずつメダルに交換して。  ミニゲームでメダルを増やしながら、アニメ化作品の台で遊ぶ。  といっても、僕はすぐに底をつき。シラユキさんが増やしたメダルで遊んでいた。  メダルゲームのイベントが一段落して少しずつメダルを投入する。静かな時間が流れて。 「今日もすごく楽しい! 雨降ってて良かった」 「シラユキさんは梅雨が延びて嬉しい?」 「ひどいと思われるかもだけど嬉しい。ミチルくんと遊べるし」 「僕?」 「私友達いないから。晴れの日は厚着して学校に来ると汗だくで。焼けちゃうから休日もほとんど遊べなくて。一人なんだ、付き合い悪いから」 「肌が弱いって言えば分かってもらえるんじゃ」 「普通、クリーム縫ったり日傘差せば十分だって思うから。私が変だから」  メダルが減っていく。  終わりも近い。 「このまま雨がやまなければいい」 「でも僕と仲良くなれた。大丈夫だよ、絶対」 「もう変なやつって思われてるから。難しいかも」 「でもシラユキさんいい人だし」 「ありがとう。なら、張り切っちゃおうかな?」  シラユキさんが笑う。  すると大当たりを引いてメダルが一気に増えた。  結局預けることになって。  また今度遊ぼうという話になったのだ。
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