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雨上がりの訪問者
雨上がりの昼下がり、土の上には至るところに水溜りが見られる。太陽が顔を出し、気温はだんだんと上昇中だ。何だか暑くなりそうな予感。
近くの水溜りを覗くと、鏡のような水面に青空と緑色の丸い姿が映る。その姿を見たカエルは自身がちょっと痩せた気がした。カエルはピョンピョンと道を急いだ。
雌蛇ヶ池の岸までやって来たカエルは、チャポンと池に飛び込む。スイス〜イ。カエルは平泳ぎが得意だった。
「広い池だ。ん、あれは何?」
少し泳いで行くと、白いお腹を上にしてプカプカと浮かんでいる鮒を見つけた。
「可哀想に…死んでいる…」
カエルは合掌して拝んだ。しかし、浮かんでいる鮒は仰向けのまま胸鰭を使って器用に旋回し、カエルのほうを向く。
「ただの日光浴じゃが〜」
「わっ、生きていた」
「当たり前じゃが〜」
「何で逆さまに?」
「日光浴は仰向けでするのが普通じゃが!」
「まあ、人間はそうかもしれないけど、君は…」
「お前は新参者じゃが〜」
「そうだよ。僕はさっき着いたばかりなんだ」
「俺さまはジャガ神じゃが〜!」
「ジャガシン?」
「そうじゃが〜」
「何それ。『新じゃが』の芸能人風な言い方?」
「違うじゃが!」
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