悲しき理由

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「おい、話があるじゃが〜」 「ジャガ神さま、何でしょう?」 鮒たちはじっと見つめ合っている。そして、ジャガ神はカエルから聞いた話を鮒に伝えた。 「…ということじゃが〜」 「なるほど。遂に(おとり)作戦を実行するときですね。ジャガ神さまは骨も何も残りませんが…」 「囮作戦?」 「実は私たちも奴を何とかしたいと思っていたところです。ジャガ神さまが囮になってブラックバスを釣り糸までおびき出し、人間に釣ってもらうんです。でも、途中で力尽きたジャガ神さまはブラックバスの胃の中に…」 「それは可哀想…」 「俺さまは食べられないじゃが〜!」 しもべ役の鮒はジャガ神を見つめた。 「真面目な話、私たちには荷が重いです。本当の助っ人に頼みましょう」 「助っ人って誰じゃが?」 「いにしえから地底で眠っている生きた化石の大魔神がいるじゃないですか。ジャガ神さま、呼んで来てください」 「えっ、俺さまが行くじゃが?」 「暇なんだから行ってくれても良いじゃないですか?」 「わかったじゃが!」 ジャガ神はしぶしぶ池の底の方に泳いで行く。その背中はプンスカしていた。
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