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突撃
最近の若者は全くなっていないとか、地球温暖化だとか、近所付き合いがなくなったとか、シーラカンスの愚痴を聞き終わると、ジャガ神たちはブラックバス退治に行くことにした。
「では行きますか?」
「行くでカンス」
「ブラックバスの居場所はわかるの?」
「もちろんじゃが〜」
ジャガ神はブラックバスが暮らしている場所に心当りがあった。池のことは何でも知っているのだ。
ジャガ神はカエルとシーラカンスをブラックバスの住処まで案内する。
ターゲットは襲撃されることを知らず、呑気に泳いでいた。カエルの目はブラックバスを鋭く見つめていた。
「あいつじゃが?」
「そうだよ。あのブラックバスだ」
「では、カンス先生。サクッとやっちゃってください」
「楽勝でカンス」
シーラカンスは石のように気配を消して、ブラックバスに近寄って行く。カエルはシーラカンスの動きを目で追う。
ブラックバスは横から接近するシーラカンスの気配に気づいた。
「ん!?」
シーラカンスがすぐ側まで近づいてきたとき、ブラックバスはなぜか思い出が走馬灯のように駆け巡った。あの時は楽しかったっス…と。
バスっ!
「グハッ!」
ブラックバスの横っ面にシーラカンスが激突した。その衝撃は三輪車に大型バスが突っ込んだようなものだった。圧倒的な重量差がもたらす力は半端ない。
「た、助けて…っス」
体当たりを受けたブラックバスは暗い池の底にだんだん沈んで行き、やがて姿が見えなくなった。それは一瞬の出来事だった。結末はあまりにもあっけなかった。
「瞬殺じゃが〜」
「さすがですね」
「朝飯前でカンス」
カエルは目に涙を浮かべた。
「ありがとう」
「もう仲間のことは忘れて今を楽しく生きるじゃが〜!」
「ジャガ神さま、良いことを言いますね」
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