9人が本棚に入れています
本棚に追加
優しい連鎖
ブラックバス撃退の後、みんなで水面まで浮上してまったりタイム。しばらくして、敵討ちに成功したカエルはジャガ神たちの元を去って行った。カエルは雌蛇ヶ池ではなく、民家の軒先で紫陽花を見ながらまったりと暮らしたいらしい。
何もすることがなくなったジャガ神たちはボケ〜っとくつろいでいた。すると、池の底のほうから誰かが近づいて来た。
「おーい、ジャガ神。話と違って痛いっス」
やって来たのはカエルの宿敵ブラックバスだった。そんなブラックバスを見て、シーラカンスは何だか申し訳なさそうにしている。
「ごめんでカンス」
実はみんな顔なじみの仲間。全てはジャガ神たちの芝居だった。
「上手い演技だったじゃが〜」
「もしもお腹が減ったら、遠慮なくジャガ神さまを食べてください」
「嫌じゃがー!」
「ジャガ神さま、私たちは食物連鎖で繋がっているのです。食べられても誰も文句は言えません。お互いが生きるためにできることをやるだけなのですから。まあ、この池の生態系は特殊ですけど…」
食べられるのは嫌だと言いながらもジャガ神はウンウンと頷いていた。
「だけど、ジャガ神を食べたらお腹を壊して三日三晩苦しみそうス」
「もしも食べた後にあの性格が感染ったら大変でカンス」
「あんなふうになったら…想像するだけで耐えられません。人間に食べられたほうがまだマシです」
「みんな、俺さまの尾びれを少しかじってみるじゃが〜!」
何だかんだ言って、雌蛇ヶ池は今日も平和だった。
最初のコメントを投稿しよう!