プロローグ

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プロローグ

 高校2年生の美園谷(みそのたに)ナナ17歳。世界の東に存在する国のプリンセス。  人類が滅亡する直前に生まれた奇跡の遺伝子(魔力)を持った少女(れい)の血を引き継ぐ者である。  零は人間でありながら魔法が使えた。遺伝子の異常だったのか、人間による遺伝子の組み換えだったのかは定かではない。  人類は最初それを超能力と呼んで軽んじていたが、その能力は凄まじく恐ろしいほどだった。  自国愛と私利私欲の国政の指導者が増えた地球はついに限定的な核戦争を始めてしまった。そして人類は滅亡の道へ転がり始めたのだったが、零は魔法で核爆弾を簡単に固めて不発弾にした。放射能汚染も魔法で掃除をするみたいにササッと消し去ってしまった。  まるで神様のような魔力で、すべての戦争も()めさせた。  最初こそ少女に逆らう指導者は大勢いたが、少女の本物の魔力と、大衆の支持の前には無力だった。  世界の平和を確信したあと、零は東の小さな国の女王になった。そこで密かに世界を守り、その仕事を後世に託したのだった。    地球と人類を救った少女の伝記は今でも語り継がれている。  なぜなら、その後も時々、復権を狙う人たちが現れたからだ。  フフ、ミミ、ヨヨ、ココ、ムム、それぞれの時代の零の子孫が魔法を使ってその欲望を消してきた。  その国の今の女王(ムム)の孫娘がナナである。  魔法は隔世遺伝で長女に伝わる。  つまりナナの母は魔法を使うことができない。  だから、次の女王はナナと生まれたときから決まっていた。
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