【四章】ー空間ー

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「今日はさ、望ん家で飲むんだろ? だったらさ、車、病院の駐車場に止めてっていいか? 泊まる気で飲みに行くからさ!」 「ああ……」  とは答えるものの、今の望はもしかしたら和也の言葉でも上の空なのかもしれない。 「じゃあ、決まりな!」  そう和也は望に事をフォローするためなのか、明るく言い、和也の方は先に着替えに行ってしまう。  望の方は机の椅子に座って、何もない携帯画面をただ眺めているだけだ。  和也は着替えて出てくると、 「望もほら! 早く着替えて来いよー! 行くのが遅くなっちまうだろ?」 「あ、ああ……ゴメン……」  そう和也にはそれだけ答えると、望もロッカールームの方へと向かうのだ。  望が着替えた後、今日の望には運転は難しいと感じた和也は、望から望の車の鍵を受け取ると和也が運転をし望の家へと向かう。  本当に今の望というのは何もしたくはないのであろう。 そこは和也の言葉を聞いて素直に和也に車の鍵を渡していたのだから。  望は車の中でドアを開ける部分に肘を掛けてぼうっと外を眺めているだけだ。  暫くして望の家に着くと、和也が今日は望の家の門を開き、車を中へと入れる。 「着いたぜ」 「ああ」  望はその和也の声で車から降りるのだ。  相変わらず望の家はシーンと静まり返っている。 ただただ望はその暗い家を眺めていることしかできないようだ。 今はこの家の暗さが自分の心のようだと思っているのかもしれない。  望はポケットから自分の家の鍵を取り出し、シンと静まり返っている家の鍵を開ける。
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