【四章】ー空間ー

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 そんな和也に望はクスリと笑い、今度は今までにはないような笑顔を見せている。  今日という日は、素直に心から喜んでいるようだ。 「あ! せや! ってな訳やから、もう、東京に住むの決まったし、また、ここに住ませてもらってええか?」  そう質問してくる雄介だが、そう聞いてこなくてもきっと望から言っていたであろう。 「いいに決まってるだろ」  そう笑顔で言う望。 いつもの望なら「勝手にしろよ」と言っていたかもしれないが、今日の望は違うようだ。 「ほな、そうさせてもらうわな。 まぁ、望がそう言うの分かってて荷物もう望の家に持って来たんやけどな」  望は「おいっ!」と雄介に突っ込みを入れようとしたが、今はいいとしよう。  今まで雄介がいなかった日々が嘘みたいだから。 今は雄介が東京へ戻って来て、また一緒に家に住めるのだから、そこはそれでいいのではないだろうか。  そして今は仲間もいる。  仲間や恋人もいて、今の望は幸せな気分なのかもしれない。  恋人と一緒に住める幸せ、それがたとえ仕事で家にいなくても、一緒に住んでいるという気持ちだけで大分違う。  今まで色々とあったが、今は仲間にも囲まれている。 そして恋人である雄介はカッコよくて優しい。 だから望は少しずつではあったが雄介に惹かれていったのかもしれない。  これからもみんな一緒にいようか?  それが一番の幸せなのだから。 ー空間ーEND NEXT→ー雪山ー
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