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【解説】
『捜神記』のエピソードは、史書『江表伝』にある于吉が孫策に処刑された事実を元につくられた怪異譚である。
『三国志』では次のように孫策の死を紹介している。
孫策はある日、狩に出かけた。
以前に孫策は呉郡太守の許貢を処刑していたが、彼の世話になっていた三人の食客(屋敷に住み、衣食の世話を受けていた)が孫策を襲撃。
孫策は顔面に矢を受けて重傷を負った。
数日後、鏡に写った自分の顔を見て、もはや助からぬと絶望のあまり亡くなった。
後に書かれた小説『三国演義』(元末~明初成立)の二十九回は、『江表伝』『捜神記』を元に、次のように孫策の最期を描いた。
次のような内容である。
孫策は襲撃で重傷を負うが、治療によって何とか助かる。
傷の治りかけた頃に宴会を催すが、道士の于吉が自分の部下たちの信仰を集めていることを知って激怒し、理由なく捕える。
孫策は于吉に雨乞いをさせ、成功すれば助けると言い渡したのに、雨が降ると約束を破って于吉を斬り殺す。
だがその報いから、孫策は于吉の幻影に苦しめられて体が衰弱。ついには鏡に写った于吉の姿を見て、あまりの恐怖から治りかけた傷口が裂けて絶命する。
なお道士に呪い殺されたというストーリーはあまりにも迷信じみているため、現在の中国の児童向けリライトでは完全に省略する場合が多い。史実の通り、襲撃を受けて亡くなったとしている。
中国中央電視台で94年から95年にかけて放映された連続ドラマ『三国演義』では、孫策は興奮のあまり于吉を斬り殺したが、そのはずみで傷口が裂けて亡くなるという展開となっている。于吉の幻影に悩まされるくだりは全面カットしている。
なおこのドラマは道士や道教などについてのエピソードは大部分カットしている。
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