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③老子とその思想
【老子】
老子は楚(当時は現在の湖南省、湖北省一帯)の人で本名は李耳、字(通称)は伯陽、聃とされる。
生没年不明で四世紀頃の人とされる。紀元前585年頃から495年頃とする資料もある。
老子とは「老先生」「老先生の書」という意味である。
なお孔子は「孔先生」「孔先生の書」という意味である。
老子の思想は荘子に引き継がれ、道家と呼ばれる「老荘思想」の思想家グループが現れた。
現在では、「老子」と云われる人物は、道家に所属する思想家たちが、権威付けに創作したもので架空の人物とする意見が有力である。
老子の著作とされる『老子』自体、道家の思想家たちが、老子の著作と称して編纂したものであろう。
【老子の思想】
老子の思想とは次のようなものである。
儒家は「仁」こそ「人の道」と説いた。
だが人間が、勝手な自分の考えでつくった道は「真実の道」とはいえない。
大昔の何もなかった時代(無為の時代)の自然な情愛こそ、真実の道である。
老子は、
「人間が自分の都合でつくった道徳を強制してはならない。それは体裁だけを考える偽善に過ぎない。
大昔の無為の時代に戻れ。心に自然と湧き出てくる心で生きよ」
と唱えた。
老子の思想の基本は、「自然の道」を歩むことにあった。
即ち、儒家が唱えたような、
「これが『仁』の思想である。人はこの思想を絶対にはずれてはならない」
などという決めつけを徹底的に批判した。
万物は環境などに応じて柔軟に変化していくものだと説いたのである。
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