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夏海は不貞腐れてテーブルに突伏していると、あっという間に出来上がったベーコンエッグトーストを載せた皿を二人ぶん、綾乃が運ぶ。
「はい、出来たよ。ソースとマヨネーズはお好みでかけてね」
そう言われた夏海がすかさず立ち上がって冷蔵庫からソースとマヨネーズの容器を抱え、冷蔵庫の扉を足で閉める。
「なっち、お行儀悪い!」
「いいじゃん、あたしの家なんだから」
親からの罰として与えられた家でさえ、傲慢に振る舞う高飛車な夏海。
彼女はすかさずベーコンエッグトーストの上から鼻歌交じりで、まるでお好み焼きのようにソースとマヨネーズを格子状にかけてトッピング。
コテコテにトッピングを施した途端、夏海はエッグトーストにかぶり付いた。
「うんまっ! 綾乃っていつも意地悪言うし面倒くさいのに、料理は最高よね!」
皮肉る夏海に対し、綾乃はにこやかに微笑みつつ怒りが口から吐露する。
「雇われの身だし実質、召使いなのが私だけど一発ぶん殴っていいべか?
なっちも早く炊事洗濯、家事全般できるようにしないとね。
しっかりしたお婿さん貰わんと、余計路頭にまようよ?」
と言いつつも、口の端をソースとマヨネーズで汚しながらトーストを美味そうに頬張る夏海を、綾乃は心配そうに見つめていた。
「頂きます」
深夜から朝にかけて船上で仕事して疲れはてて腹を空かせた綾乃は律儀に両手を合わせ、自分で作ったトーストにありつくのだった。
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