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比較的裕福な家に住む年頃の女の子にしては、結希は随分と家着が薄くてラフである。
ここでまたもや、綾乃の悪ノリが始まる。
「この度は世間に多大なご迷惑をおかけしてしまい、誠に申し訳ございませんでした。
こちらはお詫びと云っては何ですが、つまらないものですがお受け取り頂けたらと思います。
深くお詫び申し上げます」
深々と頭を下げ、箱から出した稚貝の袋を結希に渡す綾乃。
「そんな嘘、よくポンポンと出てくるわね」と綾乃に対し、夏海は呆れた様子だった。
しかし結希に関してはノリで熱演しているのか、はたまた本当に困惑しているのか、慌てた様子で綾乃に対応している。
「いえいえ! そんな大層なもの受け取れません!
せめてお代を払わせてください!
誠意は十分伝わりましたから!!
……私、綾乃さんに何か悪い事しましたっけ?」
「嘘だよー! あははは!
もー、ユキちゃんったらすぐ私の嘘を信じるんだからー!」
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