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白い歯を見せつけ、自信満々にグッドサインを力強く掲げる平次に対し、夏海は率直な意見を述べる。
「平次………いらない。返す」
「ええ!? なんで!?」
「なんか微妙に……キモい」
「おいそれ差別だろ! 酷くね?」
笑いながらも困惑する平次に、夏海は申し訳ないと思ったのか渋々ポケットに入れた。
一方の綾乃はコロポックルのトーテムポールをマジマジと見つめている。
「え……待って。これめっちゃ可愛いんだけど。
しかも手彫りだし、こんなに細かく彫れるの凄くね?」
夏海と対照的に興味津々の綾乃。
そこに食いつくかのように、まるで通販番組の司会のようにハイテンションでトーテムポールのサービストークの如く、説明が始まる。
「流石は杉谷さん家の娘は見る目があるねぇ!
何とこれ、脱着式!
分割しても、それぞれ全部ストラップが付いてるから失くさない!
カバンに付けて良し、スマホに付けて良し、キーホルダーにもなる!
しかもアイヌ民族伝統の木彫りで、神聖なコロポックルだからお守り効果も抜群!
3体揃ってるから健康祈願、交通安全、恋愛成就も間違いなし!」
「えー! すごいすごーい!
こんなに凄くて可愛いの、タダで貰っちゃって良いんですか!?」
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