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「何これ?」と指差して尋ねる夏海。
「見たらわかるべさ。稚貝」
「稚貝? 朝食にこれ食べろと!?
別に……調理してくれるなら食べるけど、朝から海鮮って重くない?」
「ごめんごめん、冗談だって」
もはや寝惚けてるのか本当に狙ってボケたのか分からない。
結局、港の漁師から差し入れでもらった稚魚は冷やして保管し、後程、隣人や友人、知人たちにおすそわけすることにした。
ともかく、綾乃はすぐに稚貝を冷蔵庫にしまって遅めの朝食を拵える。
パンを焼くためにトースターの使い方を夏海に教えつつ、綾乃はフライパンの中にベーコンと敷き、カリカリと焦げ目がついた上から殻を割って卵を落とす。
「ナッチ、トースターの使い方わかった?」
「うん、わかった」
「いっつもその返事してるけど、ウチが教えて何回目だっけ?」
「4回目」
「ウチに教えてもらった回数は覚えてるのにトースターの使い方は覚えられないんだ?」
意地悪く茶化す綾乃に、歯向かう夏海。
「うるさいわね!
私が悪いんじゃないのよ!
このボロいトースターのせいだわ!」
「ううん、単にナッチが設定時間間違えてるだけだよ」
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