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それから3日経って、私は学校帰りに通学路にあるコンビニに立ちよった。
「…あ」
この間タバコを吸っているのを注意した男子3人組が、漫画雑誌を捲りながら騒いでいる。
「うわー、こいつの必殺技やば!」
「これは勝ったっしょー」
と、大声を上げながら笑いあっている。店内に響き渡るきんきんした声が耳障りだったので、私は怖い顔をして間に入った。
「ちょっと、周りの人の迷惑になってるけど。静かにしなさい」
丸メガネの男子が、私の方をチラリと見た後、口元を綻ばせた。その笑いが、優位に立った人間が見せる勝ち誇った笑い方に見えて私はかちんときた。
「なによ、その顔」
「別に?はーい、おとなしくしまーす」
と丸メガネの男子は漫画雑誌を畳む。
「こーんなに俺らに声かけてくるなんて、もしかして、真面目ちゃんは俺らと仲良くなりたいのかなぁ?」
と金髪の男子がねちっこい言い方でそう言いながら、私の肩を抱いてくる。私は腕を振ってその手を払った。
「そんなわけないでしょ」
「おー、こわいこわい」
「馬鹿にしないで!」
私がむきになって言うと、それが面白いのかピアスの男子がけたけたと笑った。
いやらしい笑い方に、私の怒りが沸点まで上昇しそうになる。丸メガネの男子が男子二人に向かって顎をしゃくった。
「いいから、行こうぜ」
丸メガネの男子が2人を連れ、コンビニから出て行く。流し目でこちらを見てくる3人はなにか含みのある笑みを浮かべていた。
私は腹が立ったが、とりあえず店内が静かになったので3人組を許すことにした。
ぐちゃぐちゃになった漫画雑誌の列をそろえる。
「もう、読んだらちゃんと戻さないとダメじゃない」
漫画の位置を戻し終えたとき、スマホに着信が入った。
かけてきたのは四葉だった。四葉から連絡があることはあまりないので、私は不思議に思って電話に出る。
「もしもし?四葉、どうしたの?」
「庭が…大変なんだ」
四葉の声は泣き出しそうに震えている。
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